メンタルヘルスという観点で健康管理を行う必要性が指摘され、2015年に実施が義務付けられたストレスチェックですが、当面は従業員50名以上の事業所に適用されることとされており、それ以下の規模の中小事業所においては実施について「努力義務」とされています。しかし、どのような事業形態であっても、従業員数の違いがあっても、その現場で労働しているのはあくまでも一人の人間であり、その点を見逃してはなりません。特にコンプライアンスの遵守が疎かにされがちな中小企業においてこそ、ストレスチェックの実施とその結果に対する対処が必要であると考えられます。職場の環境が与えるストレスはきわめて大きいもので、日常的な勤務の中での人間関係や労働時間、給与水準や仕事に対するやりがいなど、比較的わかりやすいものから数値では判断できないものまで、多くの原因があります。

ストレスチェックはそれらを可視化して浮き彫りにすることで、従業員のメンタルヘルスの状況を把握することができる方法として重要です。超過勤務が続き、心身ともに疲弊していないか、パワハラやセクハラなどの被害を受けていないか、職場管理者は一人ひとりに目を向けて、従業員が精神疾患を引き起こさないように適切な対応を講じることが求められるようになっています。生産性の向上、売上の増加、実績の積み上げなど、数値をアップさせることだけが会社の評価を高めるものではありません。従業員を大切にすること、働きやすい環境が整っていることなど、ソフト面でのサポートが今後は重要となってくるでしょう。